■有機野菜とは?無農薬野菜やオーガニック野菜との違いは?その1
健康意識の高まりを受けて、少しずつ注目されてきているのが有機野菜です。しかし、有機野菜の基準や定義を正しく答えられる方は少ないのではないでしょうか。ここでは有機野菜の定義や見分け方、類似する「オーガニック野菜」や「無農薬野菜」との違いをご紹介します。
有機野菜とは?
有機野菜とは、指定の化学肥料や農薬などの「無機質肥料」を使わず、魚粉や油粕など植物性・動物性由来の「有機物肥料」を使って育てられた野菜のことです。有機野菜の認定には農林水産省が定めた「有機JAS規格」の条件を満たす必要があります。有機JAS規格では、特定の化学肥料や農薬の使用が禁止されているのが特徴で、遺伝子組み換え野菜ではないことも有機JAS規格の条件に含まれます。この有機JAS規格の条件を満たすことで「有機野菜」として認定され、パッケージにはそれを証明する「有機JASマーク」を表示できるのです。
有機野菜イコール完全無農薬ではない
有機野菜の栽培には、化学肥料や農薬の使用が制限されています。したがって、有機野菜イコール完全無農薬というわけではありません。JASが認定している31種類の農薬は、栽培に使用しても問題ないと規定されています。また、有機野菜の捉え方や方針は農家によっても異なっている現状があります。JASの規格を満たし、なおかつ農薬も完全無使用の野菜を「有機野菜」として捉えている農家もあります。
通常栽培の野菜との違い
有機JAS規格によって定義が決められている有機野菜に対し、通常栽培の野菜には特に定義や規定がありません。さまざまな農薬や肥料を使って育てられているもので、一般に流通している野菜だと覚えておくと良いでしょう。ちなみに、有機野菜と通常栽培の野菜の見分け方は、有機JASマークの有無です。有機野菜であれば、パッケージに有機JASマークが表示されています。
日本で有機野菜が浸透しにくい理由
えぐみの少なさや栄養価の高さが魅力の有機野菜ですが、アメリカやヨーロッパに比べると、日本国内における有機野菜の浸透率はけして高くありません。これには、生産効率や農協による厳しい規定が関わっています。有機野菜は通常栽培の野菜と比べると育てるのに時間がかかり、生産効率が良くありません。生産効率が落ちると野菜の供給不足に陥ってしまうため、有機野菜の栽培がなかなか浸透しないのです。
また、農協の規格の厳しさも有機野菜の浸透率に影響を与えています。有機野菜は、通常栽培の野菜と比べると形にバラつきがあったり、色づきにムラがあったりすることがほとんど。対する農協の規定では、凸凹していたり曲がっていたりする野菜は農協へ預けられません。その結果、廃棄されたり通常よりもはるかに少ない量で細々と消費されたりします。規格に合わない有機野菜を作るよりは、規格に合わせやすい通常栽培の野菜を作るほうが合理的なのが現状です。