■有機野菜とは?無農薬野菜やオーガニック野菜との違いは?その2

2023年12月5日

オーガニック野菜と有機野菜の違い
オーガニック野菜は、概ね有機野菜と同義です。ただし、以前と現在では厳密な定義が微妙に異なっているのがポイント。以前は、生ゴミ堆肥や家畜の排せつ物などの有機肥料で栽培される野菜全般が「オーガニック野菜」と呼ばれていました。現在のオーガニック野菜の定義は「有機肥料を使い、なおかつ指定された農薬を使わない」というものへ変化し、結果的に有機野菜と同じ意味合いを持つようになったのです。
無農薬野菜と有機野菜の違い
有機野菜の栽培では、JAS認定の農薬であれば使用しても問題ないことになっています。対する無農薬栽培は、その名のとおり農薬を全く使用せず栽培する方法のことです。ただし、現状では無農薬であることを証明できる厳格な基準や規定がありません。実際には過去に使った農薬が土壌に残っていたり、近隣の畑から農薬が拡散したりすることも十分にありえます。厳格な基準や定義がない以上、「無農薬」と表記することは消費者に誤解を与えてしまいます。そこで「無農薬」に代わる表記として定められているのが「特別栽培農産物」という名称です。
農林水産省の「特別栽培農産物に係る表示ガイドライン」では、「農産物が生産された地域の慣行レベルと比較し、節減対象農薬の使用回数が50%以下・化学肥料の窒素成分量が50%以下」という定義が定められています。つまり、有機肥料を除く農薬と化学肥料の使用を基準値以下に控えた野菜が、「特別栽培農産物」として認定されるのです。
参照元:特別栽培農産物に係る表示ガイドライン
有機野菜が持つ魅力
通常栽培の野菜にはない魅力を持っている有機野菜。以下でその魅力をいくつかまとめてご紹介します。
健康面に配慮されている
有機野菜は、通常栽培の野菜と比べると化学物質の影響を受けていません。農薬や化学肥料が一概に有害だとは言い切れませんが、それでも人間の身体への影響を考えるとケミカルなものを取りこみ過ぎるのは避けたいものです。使用できる農薬・化学肥料が制限されている有機野菜は、化学物質を取り込むリスクが少なく安心感があります。
味が濃厚でおいしい
化学肥料や農薬を過剰に使うと、外見の成長スピードに旨味や栄養素が追い付かないことがあります。場合によっては、「見た目は立派だが風味は今ひとつ」という野菜が出来上がることもあるのです。対する有機栽培では、通常栽培の野菜と比べると人工的に成長を早められることがありません。これにより野菜は本来の成長スピードで育ち、濃厚な旨味をしっかりと蓄えます。結果的に、野菜本来のおいしさを味わえるのです。
地球環境にやさしい
化学肥料や農薬を使いすぎると、土壌が汚染されてしまいます。くわえて虫や虫を捕食する動物にまで危害が及び、生態系を破壊することにもなりかねません。化学肥料や農薬の使用が制限されている有機野菜であれば、地球環境に配慮できます。
栄養価が高い
有機野菜は、病気や害虫から身を守るため「フィトケミカル」と呼ばれる成分を生成します。フィトケミカルはリコピンやビタミンC、ポリフェノールなどの栄養素を含んでいるものが多いのが特徴。このフィトケミカルによって、有機野菜の栄養価がさらに高まることが期待できるのです。
有機野菜が持つ弱点
栄養価が高くおいしい有機野菜ですが、一方で弱点もあります。
見た目が整っていない
有機野菜は、化学肥料や農薬の使用を制限されて育ちます。そのため大きな凸凹があったり曲がっていたりと、一般の野菜より形が整っていません。虫食いがある場合もあります。しかし、それらは調理方法や切り方を工夫すれば気にならないことがほとんど。自然に近い環境で育った、有機野菜ならではの個性だと捉えると良いでしょう。
まだ身近な存在ではない
少しずつ注目されるようになってきたものの、有機野菜はまだまだ身近な存在ではありません。一般的な野菜と比べると流通が少なく、販売場所が限られていることがほとんどです。有機野菜を作る農家もまだ少なく、需要と供給のバランスが取れていないことから販売価格も高めに設定されています。農家によって野菜への取り組み方もそれぞれ異なります。有機野菜の定義は、有機JASによる規格条件を満たしている野菜のことです。規定条件を満たして野菜作りを行う農家、効率的で安定的な生産を重視する農家、有機JASが指定する農薬も一切使わない農家など様々です。

畑あれこれ

Posted by kouei