■農薬を使用しない病害虫の防除方法①

1. 病害虫が発生しにくい環境をつくる「耕種的防除法」
普段、何気なく行っている農作業で病害虫の発生を抑制する、あるいは軽減させる防除法です。代表的な例を挙げてみます。
①抵抗性品種を利用する
昔から「種半作苗七分作」「苗半作」という言葉があります。これは、種や苗のよしあしによって作柄(花や果実などの出来栄え)の半分が決まるという意味です。そのため、苗を購入する際は茎が太く、間延びせずにがっちりと丈夫に育っている苗を選びます。
特に野菜類では病害虫に対して抵抗性のある品種があります。例えば、ミニトマトの「アイコ」には萎凋(いちょう)病、モザイク病、葉かび病、斑点病に対して抵抗性があり、ホウレンソウの「アトランタ」はべと病抵抗性があります。キュウリの「よしなり」ではべと病、褐斑病やうどんこ病に耐病性があります。このように抵抗性や耐病性のある品種を選ぶことも大切です。
②健全な苗を購入する
最近は種をまいて育てるより、手軽な苗を購入して育てる傾向があります。
茎が太い、葉色がよい、株がぐらつかない、さらに病害や虫害にあっていないなどの健全な苗を選べば、その後も順調に生育することが多いため、病害虫による被害の軽減が期待できます。
トマト、キュウリ、ナスなどの果菜類では、病害虫に抵抗性のある台木に接いだ接ぎ木苗が販売されています。これらは主に土壌の病害虫の被害を防ぎます。
③密植を避け、風通しをよくする
花壇や菜園に苗を植えるとき、開花時期や収穫時期、大きく育った状態を考えて苗を植えます。植え付けの間隔である株間が狭いと生育中に株と株が混み合い、風通しが悪くなり、病害虫が発生しやすくなります。
④栽培肥料の施し方に気を付ける
植物には多くの種類の栄養分が必要です。その中でも重要なのが「肥料の三要素」とされる窒素(N)・リン酸(P)・カリ(K)です。窒素は「葉肥え(はごえ)」と呼ばれ、茎葉や根の生育を促します。リン酸は「花肥え(はなごえ)」や「実肥え(みごえ)」と呼ばれ、茎葉や根の生育を助けるとともに、開花や結実を促します。カリは「根肥え(ねごえ)」と呼ばれ、特に根の生育を促します。
生育を促すために窒素が主成分の肥料を過剰に施すと、早く大きくはなりますが、軟弱に育ち、病害虫の被害を受けやすくなります。また、リン酸、カリを施し過ぎると以下の生育不良を引き起こします。リン酸過剰は草丈が伸びず生育不良になるだけでなく、カリ欠乏症(縁枯れ症状など)を引き起こす原因になります。カリ過剰は葉先にチップバーン(葉やがく片の縁や先端が茶色く焼けたように枯れる生理障害)が起きるなどの症状が出ます。窒素だけではなく、三要素(窒素・リン酸・カリ)のバランスが取れた肥料を施すことで植物が健全に育ちます。
⑤水はけをよくする
花壇では、人が歩く通路よりレンガ1個分でも高くした場所に苗を植えてください。水はけがよいと土壌病害の被害を受けにくくなります。菜園も同様で、畝を作って育てた方が病害虫の被害を受けにくくなります。
⑥天地返しをする
菜園や花壇の深さ約20cm程度の表面の土とその下にある土を入れ替える作業を天地返しといいます。土壌病原菌の多くは数年間、土壌の地表面近くで生存するので、病原菌の密度が高い土と病原菌の密度が低い土を入れ替えることによって病気に感染しにくくなります。
⑦病気になった植物を放置しない
株元が腐って枯れる症状は、土壌病原菌によって起こる場合がほとんどです。枯れた株を放置せず、株元周辺の土と一緒に処分します。その他、地上部も葉がモザイク状になるなどのウイルス病に感染した株は適切に処理してください。
つづく、、、、

畑あれこれ

Posted by kouei